激レア

先日、カフェのオープンテラスで暢気に本を読んでいると視線の斜め先の円テーブルに男性と女性と男の子の3人組がやってきた。男性は白人系の外国人の見た目をしていて、女性とは恋人関係らしく、また女性はおそらく男の子の母親で男性と男の子には血縁関係はなさそうだった。テーブルに寄るなり、男の子は椅子に座り、母親に向かって「さっきの、さっきの!」と何かをせがんだ。女性が何かのカードパックをかばんから取り出して少年に手渡すタイミングで、男性も席に着いた。女性は荷物をテーブルの上にいくと、注文なのかトイレなのか席を立った。男の子は周りを気にすることなくカードパックを開封し始めて、2枚目のカードを見るなり「激レアじゃない?激レアだ!激レアじゃん」とさけんだ。横にいた外国人男性が、「What is “激レア”?」と訊ねると、少年は男性だけでなく世界に誇るように激レアカードを掲げ、緑さすオープンテラスの中でカードに施された特殊加工の銀色が眩いほどの輝きを放っていた。